引き続き2019年9月7日、2年ぶりに開催された苗穂工場の一般公開について書きましょう。
今年の目玉は何と言ってもキハ40系「山紫水明」シリーズ第一弾、「山明号」のお披露目ですね!
JR北海道が2018年度にキハ40系4両を観光仕様に改造した「北海道の恵み」シリーズを導入し、旭川運転所のキハ40-1720「道北 流氷の恵み」を皮切りに、釧路運輸車両所にキハ40-1779「道東 森の恵み」、函館運輸所にキハ40-1809「道南 海の恵み」、苫小牧運転所にキハ40-1780「道央 花の恵み」を配備したのは記憶に新しいですね。
「北海道の恵み」シリーズは道庁による北海道150年事業の一環として登場した訳ですが、今度の「山紫水明」シリーズは「地域と連携して列車を活用した沿線活性化の取り組みを更に進める」事を目的に投入するものです。
「山紫水明」も「北海道の恵み」と同様、定期列車として運行するほか、観光列車、イベント列車にも充当すると発表されています。
TJライナーさんは工場見学ツアーに参加したらしく逸れたまま。
仕方ないので私と新特急なすのさんの2人で、開場30分後の10時に「山明号」を見学する事にしました。
展示会場は北海道鉄道技術館の手前にある留置線です。
JR北海道 国鉄 山明号 苗穂運転所 山紫水明シリーズ キハ40-1790 臨時列車
山紫水明は森林をイメージした濃緑塗装の「山明号」、水辺をイメージした紫塗装の「紫水号」の計2両を投入する事になっており、このうち山明号については既に2019年9月中旬の運行を予定していると公表されていました。
苗穂工場での展示会は一般公開の開催時間に合わせ、9:30~15:00に実施。
乗降口に階段を設けて車内に入れるようになっていました。
我々2人が山明号を眺めながら会話していると、見学者対応に当たっていたJR北海道本社車両部の課員さんが話しかけてきました。
課員さん曰く、前回の「北海道の恵み」シリーズは運転所や工場で働く現業社員達から「既存の車両を改造して観光列車にしよう」との提案を受け、北海道150年事業ともタイアップして実現させたものだそうです。
定期列車はもちろん観光列車、団体臨時列車としても道内各地で活躍し人気を集める事になり、これに本社の非現業社員も触発されて山紫水明シリーズの企画・設計に至ったといいます。
「つい昨日、完成したばかりなんです」との事で、竣工翌日にすぐさま展示しようというのは結構なハードスケジュールだっただろうと思い頭が下がりました。
キハ40-1790 山紫水明シリーズ 山明号 苗穂工場 工場長
展示会場には黒帯2本・白帯1本入りヘルメットを被った検修社員も姿を見せ、来場者に対し懇切丁寧に解説をされていました。
ヘルメットの識別線で察した方もいらっしゃるかと思いますが、こちらの方こそ苗穂工場の工場長であります。
計画科5科(総務科・工程管理科・品質管理科・技術開発科・設備保全科)、生産科3科(組立科・部品科・内燃機科)の計8部門を統べ、下請けの札幌交通機械㈱を含めて600人以上の従事員を率いる苗穂工場の最高責任者です。
工場長の配下には副工場長をはじめ、各科の管理職である科長(非現業職の課長とは表記が違う)、助役、事務員(事務主任・事務係)、プロパー検修員(車両技術主任・車両技術係・車両係)、下請け検修員(係長・工事技術主任・工事技術係・工事係)、構内運転係員、清掃員などが従事しています。
JR北海道 国鉄 山明号 苗穂運転所 山紫水明シリーズ キハ40-1790 臨時列車
山明号として生まれ変わったのは、お隣の苗穂運転所に在籍するキハ40-1790。
エクステリアは濃緑色を基調に、森林を模した幾何学模様を三層に配しています。
乗降口・乗務員室扉ともに、濃緑色よりも幾分暗い深緑色に塗装しています。
スカートまで緑に塗りたくっています。
これは「北海道の恵み」よりも徹底していますね。
前面の車体標記については「北海道の恵み」と同様、スカートの側面に移されています。
緑の中に白抜きで「札ナホ」と表示。
貫通扉にはヘッドマークを掲出。
ステッカーではありますが重厚さを感じるデザインです。
車体側面にでかでかと掲げたエンブレム。
「kiha40 Sanshisuimei series SANMEI」との英語表記が為されています。
山紫水明シリーズ 山明号 シマエナガ
我々2人は側面窓のカーテンを見て、思わず感嘆の声を漏らしました。
何とイラスト入りのカーテンに交換されている上、そこには最近巷で人気が出ている北海道の野鳥「シマエナガ」が描かれているではありませんか!
先述の課員さんにもお話を伺ったところ、「やはりSNS等で引っ張りだこのシマエナガを是非とも取り入れたいと思いました」との事。
既存車両の改造だからといって妥協せず、最近の流行にもアンテナを張ってデザインに活かしているのは素晴らしいですね。
JR北海道 国鉄 山明号 苗穂運転所 山紫水明シリーズ キハ40-1790 臨時列車
もちろん車内見学も楽しみます。
さほどの混雑にはなっていませんでしたが、時間が経つにつれ徐々に来場者が増えてきたと感じた我々は早めに乗り込む事にしました。
キハ40-1790 苗穂運転所 山紫水明シリーズ 山明号 車内 客室
車内見学は旭川方の乗降口から、長万部方の乗降口までの一方通行で経路を定めていました。
客室内は焦げ茶色のマホガニー材をふんだんに使い、なおかつ天井を白く塗装する事でレトロかつシックな雰囲気を醸し出しています。
「北海道の恵み」シリーズよりも格段にグレードを高めたインテリアに仕上がっており、これからの活躍が大いに期待されます。
キハ40-1790 苗穂運転所 山紫水明シリーズ 山明号 車内 客室
対面式クロスシートには木製のテーブルを設置。
「北海道の恵み」は着脱式のテーブルを採用し、定期列車として運転する際は外した状態ですが、山紫水明シリーズは常設としているようです。
山紫水明のテーブルも着脱可能でした・・・大変失礼しました。
座席モケットはエクステリアに準じて濃緑色とし、通路側に付く手すりは円を描いて柔和さを感じさせます。
なお、公式プレスリリースの完成予想図によると、2019年10月デビュー予定の紫水号は赤紫色の座席モケットになります。
キハ40-1790 苗穂運転所 山紫水明シリーズ 山明号 車内 客室
ロングシート部分は基本的にクロスシート部分と同様のモケットを採用していますが、優先席は他形式と同様の橙色1色です。
ロング・クロス共に背もたれの上半分は「北海道の恵み」と同様、板を張っています。
キハ40-1790 苗穂運転所 山紫水明シリーズ 山明号 車内 客室
荷棚も大胆にチェンジ。
従来の網棚から板の棚に変わりました。
長万部方のデッキで客室内を振り返ります。
吊り手も薄茶色の木目調に変更されていますね。
そして長万部方の乗降口からバラストの上に降り立ちました。
そこで待機していたJR北海道本社営業部の課員さんから記念カードを頂きました。
JR北海道 国鉄 山明号 苗穂運転所 山紫水明シリーズ キハ40-1790 臨時列車
長万部方の助士側には移動禁止合図の赤旗を掲げていました。
JR北海道 国鉄 山明号 苗穂運転所 山紫水明シリーズ キハ40-1790 臨時列車
真正面から前面を眺めた様子。
種別幕は「臨時」を示していました。
JR北海道 国鉄 山明号 苗穂運転所 山紫水明シリーズ キハ40-1790 臨時列車
10:22、次第に山明号を囲む鉄道ファンや家族連れが増えてきました。
山明号を一通り見物した後は退場・・・とはもちろんならず、15時の閉場まで苗穂工場を観覧して周りました。
次回に続きます。
【2019年9月7日開催 苗穂工場一般公開の記事一覧】
2019/9苗穂工場一般公開[2] キハ40系「山紫水明」の1両目「山明号」展示
※写真は全て2019年9月7日撮影
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最終更新日 : 2019-10-05