タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

現在、札学鉄研OB会ブログから筆者投稿の記事を移転中です

Top Page › 北海道 › 廃止直前の石勝線夕張支線におけるキハ40系3連ピストン輸送【1】
2019-03-18 (Mon) 23:59

廃止直前の石勝線夕張支線におけるキハ40系3連ピストン輸送【1】



資格勉強の追い込みにつき休筆したため、1ヶ月ぶりの投稿となります叡電デナ22でございます。
既に日商簿記2級を取得しているので、先日は知識を応用できる建設業経理2級に挑んできました。
合格発表は2ヶ月後の5月10日・・・他の民間資格に比べて結構な期間が開きますね。
全問の答案を埋めましたし、特に5問目の精算表は損益計算書と貸借対照表の齟齬が生じず記入できたので合格したものと信じたい!
休筆中のOB会ブログではマト231君、れーすいさん、新特急なすのさんの3名に記事を提供して頂きました。

さて、2019年3月16日にダイヤ改正が実施され、根室本線では直別駅、尺別駅、初田牛駅の3駅が廃止されています。
中でも尺別は炭鉱が健在だった頃は約4千人もの住民が暮らす音別町内最大の集落であり、私の祖父も大工として尺別で働いた事がありましたが、閉山から49年が経過した現在では原野に帰りつつあり寂しい限りです。

一方、石勝線夕張支線(新夕張~夕張間/16.1km)は改正から15日後の3月31日が営業最終日となり、1982年11月の開通から126年半の歴史にいよいよ幕を下ろします。
石炭産業が隆盛を極めた時代に11万7千人が暮らす炭鉱都市として大いに栄えた夕張では、鉄道も運炭の担い手としてフル稼働しました。
しかし、1950年代以降に「エネルギー革命」が勃発し、石油の価格が下がると石炭を淘汰するようになり、1966年には政府の諮問機関である石炭鉱業審議会が出炭計画の大幅な縮小(年間5千万トン体制)を表明。
夕張でも炭鉱が相次いで閉山し、最後まで残った三菱南大夕張炭鉱も1990年3月を以って泣く泣く閉山となりました。

この頃の夕張市は中田鉄治市長の主導でレジャー開発に舵を切り、夕張市石炭博物館、石炭の歴史村、ゆうばりめろん城と地元の特色を生かした施設を建設する一方、ゆうばりロボット大科学館なるキワモノまで生み出しています。
中田鉄治氏は夕張市内の炭鉱の大半が閉山し、北炭清水沢炭鉱の閉山も間近に控えた1979年に市長に就任しており、「分不相応の投資をしなければ夕張市は再生しない」と主張し観光振興に湯水の如く金を費やしました。
中田市政は2003年まで6期24年に渡り続いたのですが、その実態は中田氏のワンマン市政であり鳴り物入りの観光事業も放漫経営でした。
事業計画は粗雑そのもので累積赤字を増やし続け、人口の流出を止める事さえままなりませんでした。
無理を強いる中田市政は夕張市の体力を大いに削り続け、後藤健二氏が市長を継いだ後の2007年3月、遂に総務大臣から財政再建団体の指定を受け事実上の財政破綻となりました。

2011年に元・東京都職員の鈴木直道氏が夕張市長に就任すると、夕張のコンパクトシティ化を推進する事となり、2016年8月には自治体側からJR北海道に対し夕張支線の廃止を提案しました。
鈴木市政では鉄道の代替輸送を夕張鉄道(夕鉄バス)に任せ、更に清水沢を新たな中心部と定めて「拠点複合施設」を建設する計画も打ち出しています。


JR北海道 国鉄 臨時列車


2018年3月にJR北海道と夕張市役所の間で鉄道事業廃止の最終合意に至って以降、鉄道ファンやかつての住民が名残惜しんで夕張支線を訪れるようになり、日を追うごとに来訪者は増加しているようです。
特に廃止を控える3月下旬は更に乗客が殺到するだろうと想定されるため、JR北海道は3月16日から廃止までの16日間、夕張支線の列車本数を従来の5往復から8往復に増便すると発表しました。
しかも土日は全列車が3両編成での運行です!
長らくキハ40系が1両単行で走るのが当たり前だった夕張支線を、一般気動車3連が走るというのですから見応えがありますね。
一方、月~金は1両減車して2両編成での運行となり、祝日(春分の日)である3月21日も3連ではなく2連となりますのでご注意を。




『北海道時刻表』2019年3月号(交通新聞社)より引用

JR北海道の公式プレスリリースでは増便の3往復分を「臨時列車」としていますが、市販の時刻表を見ると全8往復の列車番号が「9」を冠しています。
つまり2019年3月ダイヤ改正以降、運行管理上は夕張支線の全列車が臨時列車扱いなのです。
しかも夕張支線内での折り返しを繰り返すピストン輸送となっており、上り最終列車の9278D(夕張19:28始発・追分行き普通列車)のみ入庫を兼ねて石勝線の本線上を走ります
下記にダイヤを抜粋しましょう。

【下り9263D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張6:30始発→沼ノ沢6:35発→南清水沢6:40発→清水沢6:43発→鹿ノ谷6:55発→夕張6:58終着

【上り9264D 夕張始発・新夕張行き】
夕張7:10始発→鹿ノ谷7:13発→清水沢7:21発→南清水沢7:24発→沼ノ沢7:29発→新夕張7:34終着

【下り9265D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張7:46始発→沼ノ沢7:50発→南清水沢7:56発→清水沢7:59発→鹿ノ谷8:11発→夕張8:14終着

【上り9266D 夕張始発・新夕張行き】
夕張8:28始発→鹿ノ谷8:31発→清水沢8:40発→南清水沢8:42発→沼ノ沢8:47発→新夕張8:52終着

【下り9267D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張10:07始発→沼ノ沢10:12発→南清水沢10:17発→清水沢10:21発→鹿ノ谷10:37発→夕張10:36終着

【上り9268D 夕張始発・新夕張行き】
夕張11:01始発→鹿ノ谷11:04発→清水沢11:13発→南清水沢11:16発→沼ノ沢11:21発→新夕張11:26終着

【下り9269D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張11:40始発→沼ノ沢11:44発→南清水沢11:49発→清水沢11:52発→鹿ノ谷12:04発→夕張12:07終着

【上り9270D 夕張始発・新夕張行き】
夕張12:20始発→鹿ノ谷12:23発→清水沢12:31発→南清水沢12:34発→沼ノ沢12:39発→新夕張12:43終着

【下り9271D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張13:05始発→沼ノ沢13:10発→南清水沢13:15発→清水沢13:19発→鹿ノ谷13:31発→夕張13:34終着

【上り9272D 夕張始発・新夕張行き】
夕張14:35始発→鹿ノ谷14:38発→清水沢14:47発→南清水沢14:50発→沼ノ沢14:55発→新夕張15:00終着

【下り9273D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張15:30始発→沼ノ沢15:35発→南清水沢15:40発→清水沢15:44発→鹿ノ谷15:56発→夕張15:59終着

【上り9274D 夕張始発・新夕張行き】
夕張16:16始発→鹿ノ谷16:19発→清水沢16:28発→南清水沢16:31発→沼ノ沢16:36発→新夕張16:41終着

【下り9275D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張17:00始発→沼ノ沢17:05発→南清水沢17:10発→清水沢17:14発→鹿ノ谷17:26発→夕張17:29終着

【上り9276D 夕張始発・新夕張行き】
夕張17:50始発→鹿ノ谷17:53発→清水沢18:02発→南清水沢18:05発→沼ノ沢18:10発→新夕張18:15終着

【下り9277D 新夕張始発・夕張行き】
新夕張18:36始発→沼ノ沢18:41発→南清水沢18:46発→清水沢18:50発→鹿ノ谷19:02発→夕張19:05終着

【上り9278D 夕張始発・追分行き】
夕張19:28始発→鹿ノ谷19:31発→清水沢19:40発→南清水沢19:43発→沼ノ沢19:48発→新夕張19:53着/20:00発→滝ノ上20:08発→川端20:18発→追分20:36終着

なお、営業最終日の2019年3月31日は石勝線9278Dの運転区間が苫小牧駅まで延長となり、室蘭本線での列車番号は9280Dとなります。
しかも追分駅を出発すると苫小牧駅までノンストップというから驚きです!
案の定、OB会員の間でも話題になっています。
9280Dのダイヤは下記の通り。

【上り9280D 追分発・苫小牧行き】
(※石勝線9278Dからの継続運転)追分20:44→苫小牧21:24終着





私も3月16日・17日の2日連続で夕張支線に足を運んできました。
ちなみに17日はOBいしかわさんとの連帯です。

16日は早朝5時に自宅を出発し、苗穂駅まで徒歩移動。
2月下旬から3月上旬にかけて雪解けが進んだ札幌圏ですが、この日は銀世界の再見となりました。
6:23発の千歳線2726D(札幌6:20始発・東室蘭行き普通列車)に乗車。
初っ端から一般気動車、それもキハ143系のツーマン運転です。
乗り換えのため南千歳駅で下車します。





本当なら普通列車の乗り継ぎで夕張支線に至りたいのですが、此度のダイヤ改正では石勝線追分~新夕張間の普通列車が減便されたため、仕方なく7:27発の特急スーパーおおぞら1号(札幌6:57始発・釧路行き)に乗り換えます。
途中、遅延している行き違い列車を待ったため、新夕張駅の到着は定刻より4分遅れの8:01になりました。





夕張支線に乗り換えるにしても、次の9267Dは10:07発で2時間も開きがあります。
敢えて早めに新夕張駅まで来たのは、夕張川を越えるキハ40系3連を撮影したかったから。
9266D(夕張8:28始発・新夕張行き普通列車)を迎え撃つべく、すぐさま駅舎を離れて撮影地へと向かいます。





新夕張駅から徒歩10分、国道452号線の紅葉山橋に辿り着きました。
この西側に並行して夕張支線の橋が架けられています。
既に同業者が集まっているかも・・・と思いきや、先客は誰一人としていませんでした。





どの位置から撮ろうかと立ち位置を変えつつ川を眺めていると、不意に夕鉄バスの札幌200か5059(日野ブルーリボン/2018年式)が出現。
夕鉄が鉄道代替バスの運行に先駆けて増備した、ワンロマ仕様のノンステップバスですね。
咄嗟にカメラを構えたので見事にピンボケしました。
この時は新札夕線の運用に入り、新夕張駅前8:20始発の新さっぽろ駅前行きに充当されていました。





8:54、並木の向こうに石勝線9266Dのキハ40系3連が出現。
定刻通りなら新夕張駅の到着時刻は8:52なので、2~3分ほど遅延していたようです。

北海道の恵みシリーズ 道央 花の恵み 苫小牧運転所
キハ40系3連 キハ40系3両編成 夕張川 石勝線夕張支線 キハ40系350番台 日高色


日高色、「道央 花の恵み」、JR北海道色・・・と3両全て異なる塗装の編成。
小気味良いエンジン音を上げ、悠然と夕張川を渡ります。





橋を渡りきって場内信号機を横切ると、いよいよ終着の新夕張駅です。
9266Dを含めた朝の2往復は札幌圏や道東からのアクセスがしづらい時間帯を走る事もあり、窓から見える乗客はかなり少なめでした。





夕張川での撮影後、あられのような固く細かい雪が降りしきるようになりました。
新夕張駅まで戻る途中、まだ開館時間でない事を承知で「道の駅 夕張メロード」に立ち寄ると、2月の訪問時には無かったキャラクターの看板が置かれていました。
どちらも夕張メロンをモチーフにしています。





メロードの看板を撮影したら新夕張駅の待合室にイン。





既に発車標には9267D(新夕張10:07始発・夕張行き普通列車)の表示があり、列車種別は「臨時普通」と案内されています。





長い待ち時間中も記録に取れるものはしっかりと回収します。
こちらは出札窓口(みどりの窓口)の傍に掲出された運賃表。





石勝線では2016年3月に東追分駅、十三里駅の2駅で旅客営業が廃止され、どちらも信号場に格下げされました。
新夕張駅を示すピンクの表示の隣には、廃止済みの2駅を隠し川端駅と滝ノ上駅を表示するステッカーが貼られています。
夕張支線の各駅も廃止に伴いステッカーで隠されてしまうのでしょうね。
運賃は沼ノ沢駅が170円、南清水沢駅と清水沢駅が共に220円、鹿ノ谷駅が260円、夕張駅が360円です。





簡易自動券売機を見ると、夕張支線の各駅は全て左端のボタンが割り当てられています。





ポスターも廃止ムードを盛り上げます。
「最期だから会いにきて。」というキャッチコピーが実に切ない・・・。





その左隣に貼られた「若菜交番速報」は2月訪問時と同じ物。
鉄道ファンに対しルールを守るよう呼びかけ続けています。
阪急8000系・8300系の初期車に阪神赤胴車の塗装を施したようなウソ電的イラストもそのまま。





JR北海道は2019年3月4日~3月30日の27日間、夕張支線を定期券で利用している沿線住民を対象に、廃止後の夕鉄バスとの定期運賃の差額補償を受け付けています。
新夕張駅の待合室にも「定期運賃差額補償のご案内」と題した貼り紙を目立つように掲示。
補償期間は2019年4月1日から始まり、通勤定期なら12ヶ月間、通学定期なら1年を10ヶ月と数え在学中の学校を卒業するまで(つまり高校生なら最長20ヶ月間適用)となります。
希望者は新夕張駅窓口で「定期利用届」を受け取り、必要事項を記入し捺印した上で窓口営業時間中(7:25~15:30)の同駅に提出する事になります。
その後、通知書が自宅に郵送されるため、同封の「交付申請書」にも記入・捺印して返送する訳ですが、若干面倒くさいシステムだなあ・・・と感じますね。
列車待ちの間に地元住民がやって来て、出札担当の営業主任に差額補償の不明点を問い合わせていました。


石勝線 夕張支線 新夕張駅 待合室 可動式フェンス


掲示物以外では、2月の訪問時には無かった伸縮フェンス(アコーディオンフェンス)が設置されています。
正面玄関から中に入ってすぐ左に2人分の隙間があるのですが、そこを塞ぐように2枚のフェンスが置かれるようになったのです。
何故こんな場所に柵を設けたのか全く以って謎です。
営業最終日の凄まじい混雑を想定し、乗降客の流れを整理するために導入したんでしょうか?





2枚の伸縮フェンスの足元を見ると、ビスで床に固定されています。
仮に混雑対策だとしても、最終日だけ持ち運びできるバリケードを置けば良いような気が・・・。





トイレの出入口にまで伸縮フェンスが設置されています。
もちろん床に完全固定。





トイレ側の伸縮フェンスには「関係者以外立入禁止」とのサインプレートが提げられています。
もしかして駅構内の式典か何かを催す都合でトイレを封鎖するのでしょうか?
うーん、気になるなあ・・・。





9267Dの改札開始は9:57の予定でしたが、営業主任さんにお願いしたところ20分早くホームに入れて頂けました。
「まだ車両のドアは開かないのでご了承ください」との事で、暫くは車外での撮影に勤しみます。
夕張支線の列車が発着するのは原則として3番線。
改札口から真っ直ぐ延びる通路を奥に進むと、3・4番線ホームに上がる階段と荷物用エレベーターがあります。





新夕張駅では国鉄末期の1984年2月に荷物取扱いを廃止していますが、荷物用エレベーターは現在も駅員に申し出ると使用する事が出来るというのは以前の記事に書きました
しかし実際にエレベーターが使われているのを今まで見た事がありません。
どのような物資が輸送されているのか未だ不明。
特急列車もエレベーターの無い1・2番線の発着なので、夕張支線が廃止されれば使用される機会はそれこそ無くなってしまうでしょうね。

道央 花の恵み 苫小牧運転所
キハ40系3連 キハ40系3両編成 新夕張駅 夕張駅 日高色 日高本線 北海道の恵み


まずは対岸の1・2番線ホームへ。
階段を上って屋外に出ると、バラバラな塗装の3両編成が休息中でした。


長くなったので今回はここまで。
次回に続きます。


※写真は特記を除き2019年3月16日撮影


(文・特記を除く写真:叡電デナ22@札幌市在住)


鉄道コムのブログランキングに参加中!バナーのクリックをお願い致します。
スポンサーサイト



最終更新日 : 2019-07-03

Comment







管理者にだけ表示を許可