タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2019-02-06 (Wed) 00:00

北海道の恵み3連!団体臨時列車「元気です夕張号」を追う【4】



引き続き、2019年2月2日に運転された「元気です夕張号」を追いかけていきましょう。
前回は石勝線夕張支線での除雪作業の影響により、新夕張駅にて抑止していた夕張号に追いつき、運行再開まで撮影し続けたのでした。
その後、全区間運休になった石勝線2629D(千歳10:38始発・夕張行き普通列車)の代行輸送は手配されず、夕鉄バス札幌線の13:41始発で夕張支線を北へ辿り次なる撮影地に向かう事にした訳です。
バスの発車時刻までたっぷり時間があったので、駅前にある「道の駅夕張メロード」に行って暇を潰します。





館内にはかつての炭鉱都市・夕張の歴史を伝える展示コーナーがあります。
手前中央には現在の夕張市石炭博物館の付近にあった、北炭夕張新第二炭鉱で採掘された石炭の塊が置かれています。


JR北海道 国鉄 石勝線夕張支線 廃止 夕張鉄道 三菱大夕張鉄道 夕張メロード


展示コーナーでは夕張市内にあった私鉄の夕張鉄道、三菱大夕張鉄道に関する展示物も見られます。
実際に使われていたレールや転轍機標識灯、合図灯、日付印字器、速度計、改札鋏、ダルマストーブなどの鉄道用品に加え、健在だった頃の各鉄道の貴重な写真があります。


三菱大夕張鉄道 制服 駅長制帽


こちらは三菱大夕張鉄道の駅長用制帽。
国鉄・JRと同様に鉢巻を赤帯とし、その上に2本の金線(識別線)を付けています。
マチ・天の布地は黒羅紗です。


夕張鉄道 制服 ヘルメット 安全帽


こちらは夕張鉄道のヘルメット。
ツバの出っ張りが小さいので構内係員以外の社員、即ち保線係員、電気係員、検修員が被っていた物でしょう。
正面に夕鉄の社紋が付いていますが、これはバス専業となった現在も使われています。







各社が販売していた乗車券類もディスプレイ。





1958年頃に夕張鉄道錦沢駅で撮影された写真。
当時の駅前では錦沢遊園地が営業しており、錦沢駅は多くの行楽客で賑わっていたといいます。
夕張鉄道も三菱大夕張鉄道も廃止されて久しい現在、炭鉱都市を支えた鉄道路線がまた一つ無くなろうとしている訳で、寂しくなるなあ・・・と感じる次第。


昼食を買って新夕張駅に戻ると待合室には19人の客がおり、そのうち17人は夕張号を目当てに来た鉄道ファンでした。
この中からも夕鉄バスで撮影地に移動する人が出るんだろうな・・・と思いつつ昼食を済ませます。


JR東海 夕張鉄道 夕鉄バス 札幌200か1573


13:37、夕鉄バス本社営業所所属の札幌200か1573(日野ブルーリボン/1993年式)がやって来ました。
この車両は2005年に導入されたジェイアール東海バスの中古車で、札幌線が新さっぽろ駅前~夕張南部間の運行で新夕張駅に乗り入れなかった2017年9月以前も同線によく充当されていました。
大学時代にもよくお世話になったブルリですが、あの頃はまさか新夕張駅前に乗り入れようとは思いませんでしたね。
あの頃、新夕張駅前を経由した夕鉄バスの路線は登川線(清陵町~南清水沢駅前~登川間)の1路線のみで、赤い塗装の急行用車両が走っていたものです。





駅舎正面の上屋の下に置かれたバス停標識の前に停まります。
札幌200か1573は新さっぽろ駅前10:48始発の当駅止まりとして運転されており、乗客を降ろしたらそのまま折返し新さっぽろ駅前行きの13:41始発最終便に充当されます。


夕鉄バス 札幌200か1573 日野ブルーリボン


13:38、4枚折戸の乗車口が全開になりました。
昔は折戸の半分を締め切り扱いにしており、せっかくのワイドドアなのに勿体無いと思ったものですが、一体どういう風の吹き回しで全て開けるようになったのやら。





左1列、右2列にハイバックシートを並べた座席配置も懐かしいです。
降車ボタンは今や札幌近郊で滅多に見られなくなったゴールドキング製DFPH-PLSAです。
待合室で待機していた鉄道ファンは17人、はたして何人がバスに乗り込んでくるかと思ったら、たった6人だけで拍子抜けしました。
どうやら駅舎に残った同業者は新夕張駅で夕張号を待機するか、特急列車に乗って帰る選択肢を取ったようです。

夕鉄バス札幌線の最終便は定刻通り13:41に新夕張駅前を出発。
付近で約2時間を過ごしているうちに道路の除雪が進み、ブルリは快調な滑り出しです。
夕張川に架かる紅葉山橋を渡って国道452号線(夕張国道)を北上する訳ですが、橋の上には数人の鉄道ファンが立ち、鉄橋を渡る夕張号をカメラに収めようと待機していました。
川を越えて紅葉山の集落を離れますが、良好な道路状態が続きバスもスムーズに走り続けます。

13:48、沼ノ沢駅前にて鉄道ファン1人が下車。
残る乗客は私を含めて6人になりました。
13:59、清陵町にて地元住民2人が乗車し、客は合計8人に。
14:01、工業団地では地元住民1人がアッサリ下車しました。
清水沢駅を通過して道道38号線を北上していると、隣接する石勝線夕張支線を件の軌道モーターカーが南へ駆け抜けていきました。


夕鉄バス 夕張鉄道 札幌200か1573 日野ブルーリボン ジェイアール東海バス JR東海


そして14:20、夕鉄本社ターミナルに到着。
私を含めて7人全員が下車しました。
普通列車の代行輸送が手配できなかったのが嘘のように道路状態は良く、ここまでバスは定刻通りに走り続ける事が出来ました。


夕鉄本社ターミナル 夕張鉄道 夕鉄バス


バスを降りたらすぐさま道道38号線を歩いて鹿ノ谷駅を目指します。
本社営業所に停車中の車両も見たくなりましたがグッと我慢。





14:38、鹿ノ谷駅に到着。
駅前には多数のクルマが駐車されており、構内北側の跨線橋を見ると既に多くの同業者が集まっていました。
しかも誰もが新夕張方を向いて様子を窺っており、北海道の恵み3連が回送列車としてやって来る事を察しました。
石勝線夕張支線は新夕張~夕張間の1閉塞しか無いとはいえ、2629D(千歳10:38始発・夕張行き普通列車)と2628D(夕張12:34始発・千歳行き普通列車)の上下2本が運休になったので夕張号は夕張駅に留まるんじゃないか・・・と考えていたのが甘かった。
車両点検などの都合で一旦、追分方面に引き返していたんですね。
それならバスに乗る前に夕張川で鉄橋を渡る回送列車を撮影できたなあ・・・と後悔するも、心を入れ換えて跨線橋に上がる事にします。
階段は雪が傾斜状に積もって氷の坂と化しており、滑りやすいので手すりをしっかり掴んで慎重に進みました。

キハ40-1779 道東 森の恵み  キハ40-1780 道央 花の恵み  キハ40系3連
石勝線夕張支線 廃止 鹿ノ谷駅 キハ40系3両編成  北海道の恵み  道北 流氷の恵み キハ40-1720


夕張号の夕張駅発車時刻は15:00ですが、北海道の恵み3連が鹿ノ谷駅を通過したのは15:06。
回送列車は見事に遅延していました。

キハ40-1779 道東 森の恵み  キハ40-1780 道央 花の恵み  キハ40系3連
石勝線夕張支線 廃止 鹿ノ谷駅 キハ40系3両編成  北海道の恵み  道北 流氷の恵み キハ40-1720


すかさず後追い。
キハ40-1779「道東 森の恵み」は雪化粧を纏っていました。

キハ40-1779 道東 森の恵み  キハ40-1780 道央 花の恵み  キハ40系3連
石勝線夕張支線 廃止 鹿ノ谷駅 キハ40系3両編成  北海道の恵み  道北 流氷の恵み キハ40-1720


回送を撮り終えると同業者の大半が引き返していきました。
遅延中の手前、夕張号はすぐさま客を乗せて夕張駅を出発するだろうと踏んだ私は、跨線橋に留まって待ち構える事にしました。
人がはけてスペースに余裕が出来たので、立ち位置をやや西側に変更。
夕張号は定刻より16分遅れの15:16に夕張駅を出発し、撮影地には15:19に姿を見せました。

キハ40-1779 道東 森の恵み  キハ40-1780 道央 花の恵み  キハ40系3連
石勝線夕張支線 廃止 鹿ノ谷駅 キハ40系3両編成  北海道の恵み  道北 流氷の恵み キハ40-1720


「道東 森の恵み」の雪化粧は南へ走るうちにいくらか薄れたようです。

キハ40-1779 道東 森の恵み  キハ40-1780 道央 花の恵み  キハ40系3連
石勝線夕張支線 廃止 鹿ノ谷駅 キハ40系3両編成  北海道の恵み  道北 流氷の恵み キハ40-1720


跨線橋の手前に差し掛かる頃には、素早くカメラを縦に構え直しました。

キハ40-1779 道東 森の恵み  キハ40-1780 道央 花の恵み  キハ40系3連
石勝線夕張支線 廃止 鹿ノ谷駅 キハ40系3両編成  北海道の恵み  道北 流氷の恵み キハ40-1720


薄っすらと雪煙を上げて鹿ノ谷駅を通過。

キハ40-1779 道東 森の恵み  キハ40-1780 道央 花の恵み  キハ40系3連
石勝線夕張支線 廃止 鹿ノ谷駅 キハ40系3両編成  北海道の恵み  道北 流氷の恵み キハ40-1720


見えなくなるまでシャッターを切り続けました。





そして慎重に氷の坂を下って跨線橋を降りたら、せっかく来たので待合室の様子も見ておきます。





窓にはSL列車を模った紙細工が貼られており、「ありがとう鹿ノ谷駅」とのメッセージを添えていました。





ホーム上の様子も見ておきます。





国鉄の残り香を感じさせるこの木造駅舎も、夕張支線の廃止によって役目を終える事になります。





駅構内を眺めた後は、道道38号線にある北海道中央バスの鹿の谷駅前停留所へ。
バス停標識にも雪が容赦なくのしかかっています。





15:45発の高速ゆうばり号(レースイリゾート前15:43始発・札幌駅前ターミナル行き)に乗って札幌に帰ります。
定刻より3分遅れの15:47に来ました。
充当車両は岩見沢営業所所属の札幌200か3786(三菱ふそうエアロエース/2014年式)です。





定刻より16分遅れの17:41、終点の札幌駅前ターミナルに到着。
夕張号の16分遅れが続いたら札幌駅で鉢合わせ出来るんじゃないか・・・と思いきや、そちらは見事に回復運転を遂げてしまったとの事。
既に苗穂運転所へと回送されているだろうという事で、夕張号の追っかけはこれにて終了となりました。





帰りがてら赤レンガテラスに立ち寄り、「けやき」でニンニクラーメンを食べました。
ニンニクチップを大量に浮かべた味噌ラーメンですね。
店内スピーカーから流れるアイズレー・ブラザーズの「That Lady」を聴きつつ、ガッツリ平らげましたとさ。


※写真は全て2019年2月2日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)


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最終更新日 : 2019-07-02

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